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 三遊亭圓朝作品のあらすじ
戦前の人情噺・長編落語

 怪談噺     | 真景累ヶ淵 ◎○・* | 怪談牡丹燈籠 ◎○・* | 怪談阿三の森 ○・* | 怪談乳房榎 ○・* | 鏡ヶ池操松影(江島屋騒動) ○・* |
 人情噺 | 敵討札所の霊験 ◎○・* | 業平文治漂流奇談 ◎○・* | 後の業平文治 ◎○* | 蝦夷錦故郷之家土産 ○・* | 蝦夷なまり ○・* |
  | 熱海土産温泉利書 ○・* | 敵討霞初島 ○・* | 粟田口霑笛竹 ○・* | 霧陰伊香保湯煙 ○・* | 火中の蓮華 ・ |
  | 黄薔薇 ○・* | 松の操美人の生埋 ◎○・* | 松と藤芸妓の替紋 ◎○・* | 雨後の残月 ・ | 因果塚の由来(離魂病) ◎○・* |
  | 政談月の鏡 ◎○・* | 鶴殺疾刃庖刀 ○・* | 八景隅田川 ○・* | 恋路の闇 ○ | 有馬土産千代の若松 ・ | 温故知新 ・ |
 芝居噺 | 緑林門松竹 ○・* | 菊模様皿山奇談 ◎○・* | 雨夜の引窓(引窓与兵衛) ○・* |
 伝記物 | 塩原多助一代記 ○・* | 塩原多助後日譚 ○・* | 後開榛名の梅が香(安中草三) ○・* |
  | 操競女学校 - お民の伝 ○・* / お蝶の伝 ○・* / お里の伝 ○・* / お辰の伝 ・ / お婉の伝 ○・* | 烈婦お不二 ・ | 奴勝山 ・* |
  | 指物師名人長二 ◎○・* | 月謡荻江一節 ○・* | 荻の若葉 ○・ | 名人くらべ ○・* | 谷文晁の伝 ・ |
  | 英国孝子ジョージ・スミスの伝 ◎○・* | 英国女王イリザベス伝 ○・* | 応文一雅伝 ・ | 日蓮大士道徳話 ・ |
 一席物 | 鰍沢雪の夜噺 ◎○・* | 鰍沢二席目 ○・* | 黄金餅 ◎○・* | 死神 ・* | 心眼 ◎○・* | 大仏餅 ◎○・* | 文七元結 ◎○・* |
  | 縁切榎 ○・* | 女の子別れ ・* | 心中時雨傘 ○・* | 世辞屋 ◎○・* | にゅう ◎○・* | 福禄寿 ○・* | 闇夜の梅(穴釣三次) ◎○・* |
  | 雪夜の乳貰 ・ |

◎は青空文庫で作品が読めるもの   青空文庫
○は国立国会図書館デジタルコレクションで館外から閲覧できるもの   国立国会図書館デジタルコレクション
・は岩波書店版『円朝全集』に収められているもの
*は角川書店版『三遊亭円朝全集』に収められているもの

三遊亭圓朝
 初代三遊亭圓朝[天保10-1900]は,江戸から明治期に活躍した三遊派の総帥.「牡丹燈籠」など多数の創作を残し,その速記は言文一致体を模索する二葉亭四迷らにも影響を与えた.明治の元勲井上馨と各地に外遊し,山岡鉄舟を通じて禅に傾倒した.三遊派復興を記念して木母寺(墨田区)に三遊塚を建てた.谷中全生庵(台東区)にある墓は都旧跡.全生庵では,圓朝忌(近年は圓朝まつり)が盛大に営まれる.

圓朝作品に触れるには
 「牡丹燈籠」の幽霊が響かせるカランコロンという下駄の音はあまりに有名だが,実際に噺でそれを聞くことは,特殊な会ででもないと難しいだろう.
 「豊志賀の死」のように抜き読みで演じられたり映画化されたりするのはいい方で,演じ手が絶えてしまい速記の中でしか残っていない作品も多い.ところが,その速記にしても,角川書店の円朝全集7巻,春陽堂・世界文庫版の圓朝全集13巻のいずれも絶版であり,入手は容易ではない.岩波文庫に収められた代表作(牡丹燈籠,累ヶ淵,塩原多助)は,時々復刊されている.2012年より岩波書店から円朝全集全15巻が刊行された.この版でなければ読めない作品がある.ただし,全巻一括予約制なので,機会を逸すると入手が難しい.
 青空文庫は,著作権の切れた作品をインターネット上で公開しており,圓朝作品も少しずつ青空文庫に収められるようになっている.国立国会図書館では,主に明治期に出版された書籍のイメージを国立国会図書館デジタルコレクションとして公開している.春陽堂版の圓朝全集13巻がすべて公開されている.ダウンロードも可能である.
 あらすじを調べたかったら,吉田章一,江戸落語便利帳,青蛙房(2008)が詳しい.巻末付録の扱いだが,圓朝作品を含む長編人情噺・文芸噺の概要をまとめた労作がついている.

あらすじのパートには
 圓朝作品ごとに,登場人物の関係図に加え,忙しい人向けの2行あらすじとストーリーの概要を記した.
 登場人物の関係図は下の例のようになる.圓朝曼陀羅と呼ばれるように,その人物関係は複雑で,自死他殺も多い.「緑林門松竹」では毒薬での大量殺人,「真景累ヶ淵」では呪われた鎌が次々と人をあやめていく.図の矢印が殺人(実線),殺人未遂や呪殺(破線),特殊な殺害(茶色線)を示している.また,婚姻や密通,妾と旦那などの関係を二重線,片思いや売春・強姦未遂を二重点線,育ての親を黒色破線で示した.お遊びで,マウスを図に乗せると最後に生き残った人になったり,別の話と対比できるようにした話もある.


"はなしの足あと"のパートには
 圓朝地名図譜 各県別,区別のページでは,複数の噺がひとつの地図にプロットされているため,作品ごとに登場する土地がわかりにくい.そこで,道中付けや場面転換を中心に,地図と登場場所をまとめてみた.

 主要県の配置は左図のようであり,ほぼこの図の範囲内と北海道を圓朝作品の登場人物は移動している.東京23区の配置は右図のようであり,実線または矢印は,経路が書かれた移動(道中付け)を示している.落語で言えば,「黄金餅」で麻布の寺へ行く言い立てや「城木屋」で東海道の宿場を織り込むお裁きの場がそれにあたる.点線は,詳しい経路が書かれていない移動を示す.

"はなしの人びと"のパートには
 圓朝作品に登場する人物は,入れ事として登場する実在人物も含めると総勢2000人を超える.中には牡丹燈籠,政談月の鏡,名人くらべの3作品に登場する石子伴作という人物もある.人物相関図に載せた主要人物を中心に表にまとめてみた.
 生没年は本文の記述からなるべく矛盾が出ないように計算したもので,旧暦の和暦表記を機械的に西暦に改めている.そのため,実際には1年前の西暦年としている可能性がある.実在人物と噺の記述とが合わない時は,噺の方を優先させた.

 主要登場人物の表と時系列のあらすじ書きは,地名調べの際に作ったメモをもとにしている.今読み返してみるとはっきりしない記述が多い.詳細は前記の「江戸落語便利帳」に譲ることにして,本編の圓朝地名図譜を見る参考にはなるかと思い,未完成ながら載せておく.