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政談月の鏡   
−せいだんつきのかがみ−

 推理小説仕立て.動機のない毒殺,目撃者により容疑者確保,真犯人逮捕の流れに沿っている.他の話にも出てくる板の間稼ぎの濡衣,「梅若礼三郎」もどきの情けが仇のプロットを織り込んでいることが,類型的な印象を与える.舞台は江戸を出ることがない.明治25年に博文館から出版.

 大あらすじ
 番太郎が侍に毒殺された.被害者の妻の通報により容疑者が捕縛されたが黙秘.動機も見あたらない.
 毒殺事件
 宝暦3(1753)年11月3日,長谷川町の番太郎,喜助が侍に毒酒で殺される−女房の梅,自ら吉原に身売りして侍の詮議
長谷川町三光新道
 深まる謎
 近江屋,お筆を嫁にしようと奉公人として預かる−お筆,虎に板の間稼ぎの罪にはめられる−浪人の清左衛門,吉原で毒酒犯として捕らえられる−吟味を受けるが,決して主命を明かさない/1754年1月,お筆,永代橋から身を投げる−築地に水死体が上がる−お筆は,米倉屋に救われており,水死体は実は米倉屋の娘おとみ−米倉屋,お筆を自分の娘にする
伝馬町の牢あと
 事件解決へ
 1756年,米倉屋,零落.お筆,数寄屋河岸に合力に出る−見知らぬ侍に大金をもらう−勘次,お筆の金を盗んで遊興するが,それは刻印付きの盗金で御用−侍,酒屋でその話を聞く−侍,奉行所へ自首−お筆,吟味中の父清左衛門に会い,父の姓名明かす−清左衛門の弟,園八郎が喜助殺しの真犯人.謀反を計画して毒殺の試験をしていた−園八郎断罪
数寄屋御門あと

 はなしの足あと
 すべて江戸市中,それもほとんど中央区内で話が進む.発端は長谷川町(中央区日本橋堀留町)の番太郎殺し.下手人とされるのが小田原町(中央区築地)に住む浪人.娘のお筆が袖乞いに立ち,偽金をもらうのが数寄屋河岸(中央区銀座).親娘ともに伝馬町の牢(中央区日本橋小伝馬町)に入れられ吟味を受ける.

 はなしの人びと
うめ (1731-) 喜助の妻.吉原弁天屋の紅梅となり仇捜す.
勘次 かんじ   勘次郎.お筆の裏長屋.金を盗む.
喜助 きすけ (-1753.11.03) 長谷川町の番太郎.園八郎に毒殺.
金次郎 きんじろう (-1754.01) 米倉屋の手代.おとみと心中.登場しない.
金之丞 きんのじょう   吉田監物の子.登場しない.
下河原清左衛門 しもがわらせいざえもん (1708-) 浪人.売卜業.毒殺犯と誤られる.
園八郎 そのはちろう   清左衛門の弟.金之丞毒殺計画,喜助毒殺.斬罪.
月岡幸十郎 つきおかこうじゅうろう (1728?-) 岡山無宿.盗賊.お筆に金をめぐむ.
とみ とみ (1737頃-1754.01) 米倉屋の娘.金次郎と心中.登場しない.
とら   桂庵.お筆に板の間稼ぎの濡衣きせる.
ふで   清左衛門の娘.自殺未遂を米倉屋に救われる.月岡から金もらう.
曲淵甲斐守 まがりぶちかいのかみ   町奉行.お筆の一件裁く.
むら   吉田監物の妾.斬罪.登場しない.
ゆう ゆう (1708-1754.08) 米倉屋の妻.
吉田監物 よしだけんもつ   巣鴨傾城ヶ窪.清左衛門の主家.登場しない.
米倉屋孫右衛門 よねくらやまごえもん   浅草福井町.お筆救い,娘に.後に零落.

掲載 090101/最終更新 100805

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