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温故知新   
−またあうはる−

 温故知新は,岩波版円朝全集の別巻に初掲載.古川魁蕾子寄稿,三遊亭圓朝演舌とあるが,口演速記ではない.明治15(1882)年,『諸芸新聞』に10回にわたって連載されたが未完.まだ子どものお録が田舎に出され,吉原に売られるが,演題からはハッピーエンドを予感させる.

 大あらすじ
 大事な子どもを養女に預けたら,吉原に売られてしまった.親子はふたたび会えるのか.
 本意ない別れ
 安政年間,加賀藩士石川新右衛門とお牧は,ようやくお録を授かる−年回りが悪いと,養女に出す相談−下女のお嘉と足軽の力蔵が密会,お嘉をそそのかして,お録を養女に出すようたきつける.石川は,平方村に住むお録の兄,治助に養女へ出すことを決める−お嘉は乳母となり,治助夫婦がお録を育てる−お嘉はお録を手なずける−平方に小間物屋を持った力蔵,お嘉を嫁にもらう−お嘉になついたお録も引き取る
平方
 未完の完
 石川夫婦に長男の団三が生まれる−お録に会いにひさびさに治助宅を訪問−力蔵は酒と博打で借金がかさみ,お録を連れて出奔していた−明治維新を迎え,団三10歳の時,石川は娘に詫びてくれと言い残して死亡−団三18歳の時,親類の勧めで加賀から上京.神仏にすがって姉を探すー明治14年,お牧の病気が回復し,団三と二人で深川不動を参詣.偶然,お嘉に声をかけられる−ここで,お嘉の物語がはじまる.15年前,松戸に住んでいた折,力蔵はお録を吉原の桜屋に売って金にした.それを知ったお嘉は,力蔵のもとを飛び出した−ここで連載は未完のまま終わる.親子がまた会う春は来るのか
深川不動万燈会

 はなしの足あと
 石川の屋敷は本郷の加賀家.お録を養女に出したのは平方村(流山市)の治助の家,一時松戸にいたお牧は,石川団三と深川不動で出会う.

 はなしの人びと
石川新右衛門 いしかわしんえもん お牧の夫.娘と別れて死亡
坂田力蔵 さかたりきぞう 足軽.お嘉と示し合わせてお録を我が物とする.後にお録を吉原に売る
治助 じすけ 平方村に住むお録の養父
団三 だんぞう お録の弟.母のお牧とお録の行方を探す
よし 下女.お録の乳母になってお録を引き取る.後にお牧と再会
まき お録の母.娘を探しに東京に出る
ろく お牧の娘.養女に出され,吉原に売られる

掲載 180901

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