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11日目     上野下野道の記 本文


 1876(明治9)年9月8日
 沼田〜前橋



 圓朝は下新田を訪問することなく帰路につく.帰りは前橋から.
  わけて聞くむしあり蟲のすだく中
              −岩上村−




地点名 出典と登場回数 位 置 備 考 写真と撮影年
岩本村 いわもとむら 上野, 下新田 沼田市岩本町 ここからは沼田からの帰路になる.沼田から戸鹿野橋を渡って,利根川右岸を進む.山が迫っており,岩本駅裏には東電の水力発電所の太い水路が目立つ.新道とは,綾戸手前を左に別れ,川に降りて行く道のことだろう.
"沼田を出立して岩本村の 新道を左りに"(上野下野道の記)
岩本の旧街道 2025
新橋 しんばし 上野, 下新田 沼田市岩本町〜渋川市赤城町棚下か 岩波版のルビは,しんけう.新橋を渡って棚下に入ったとある.この橋は,「下新田日記」にも出てくる綾戸橋のことだろう.「下新田日記」の帰路では,下流に架けられた棚下橋を渡ってふたたび利根川右岸に戻った.明治9年の時点で,右岸の隧道はまだ整備されておらず,ここでは棚下からの険路をずっと通っていった.
"新橋 橋銭八十文 渡り"(上野下野道の記)
綾戸橋あと 2025
棚下村 たなしたむら 上野, 下新田 渋川市赤城町棚下 ここからは再び利根川左岸をたどる.棚下の両岸には切りたった岩壁がそびえている.「下新田日記」に,"川向ふは岩石屏風を立てたる如く"と記している.棚下不動の滝は,雄滝雌滝の2本からなる.巨大な裏見の滝になっている.
"棚下村より佃村にて中食"(上野下野道の記)
棚下の崖 2025
佃村 つくだむら 上野 渋川市赤城町津久田 津久田(つくだ)が正しい.津久田八幡境内にあるキンメイチクは国天然記念物.青竹に金色の縦線が入る節が混じる.京都黄檗山の「金明竹」は,寸胴切りにされて花活けになる.
"佃村にて中食(ちゅうじき)、 此の村より白井まで一里"(上野下野道の記)
津久田八幡のキンメイチク 2025
猫村 ねこむら 上野 渋川市赤城町敷島 敷島駅前一帯.1956年に敷島村が赤城村と合併した際に,猫の地名は消えたが,地元では猫で通用する.近くの石塔を見ても,"猫村"の文字を見つけることはできなかった.ところが,最近,猫の名を惜しんだ人たちによって,敷島駅にねこ駅長のキマにゃんが飾られるようになった.
"是より猫村、宮田村まで 一里"(上野下野道の記)
猫の駅敷島 2025
宮田村 みやたむら 上野 渋川市赤城町宮田 岩波版のルビは,みやだむら.宮田神社に隣接する宮田不動尊は,国重文の石像仏で,よくあるお寺の地蔵さんのようなちゃちなものでない.申し込まないと拝観できない.
"是より猫村、宮田村まで 一里"(上野下野道の記)
宮田神社 2025
樽村 たるむら 上野 渋川市赤城町樽 宮田と同じように,蛇行する利根川がつくった馬蹄形の平地にある集落.イチゴなどの果樹栽培がさかん.なぜか樽地区の産業などを記した案内板が長年にわたって建てられている.
"樽村、鉢崎村にて小休み"(上野下野道の記)
樽集落 2025
鉢崎村 はっさきむら 伊香保, 多助, 上野, 下新田 全2件2題 渋川市北橘町八崎 八崎(はっさき)宿.沼田街道西通りが通る白井とは渡船で通じていた.両者はペアのような存在で,白井八崎と対で出てくることが多い.八埼と分郷八埼が隣接しており,宿場の案内は分郷八埼との境に建てられている.
"鉢崎村にて小休み、此の時にしら雨降り出して雷鳴音凄じく"(上野下野道の記)
八崎の町なみ 2025
真壁 まかべ 上野 渋川市北橘町真壁 八崎の南.街道は,南北二手に分かれていた.西側の街道のそば,小山の上に真壁城があった.
"其のうち雨はれ雷も止みたる故、真壁より箱田(はこだ)村"(上野下野道の記)
沼田街道真壁城址 2025
箱田村 はこだむら 上野, 下新田 渋川市北橘町箱田 山頂にある箱田城址は,保養施設を経て温泉施設になっている.山腹西側,利根川に面して眺望がよい.正面に見えるのは橘山で,街道は橘山の東西,ふた道に分かれていた.
"箱田村に来て休み"(上野下野道の記)
箱田城址より箱田方面 2025
榛名山 はるなさん 多助, 草三, 上野 全2件2題 高崎市 榛名湖を外輪山が囲む.個々の峰は「後開榛名の梅が香」に登場する.榛名富士はロープウェイで登ることができる.
"此処より榛名山、男子、子持の両山を見"(上野下野道の記)
榛名山 2025
男子 おのこ 伊香保, 多助, 草三, 上野 全3件3題 渋川市,吾妻郡高山村 小野子山.高山村と渋川市(旧小野上村)の境.標高1208m.
"此処より榛名山、男子、子持の両山を見"(上野下野道の記)
小野子山 2025
子持 こもち 伊香保, 多助, 草三, 上野, 下新田 全3件3題 沼田市,渋川市 沼田市と渋川市(旧小野上村)との境.小野子山の東に位置する.標高1296m.
"此処より榛名山、男子、子持の両山を見"(上野下野道の記)
子持山 2025
利根川 とねがわ 多助, 上野, 下新田 全1件1題 群馬県 「上野下野道の記」では箱田あたりから利根川を目にする.
"利根川の急流を前に、風景よろしければ"(上野下野道の記)
利根川 2025
荒巻村 あらまきむら 上野 前橋市荒牧町 荒牧(あらまき)が正しい.前橋の市街地に入る.区画整理が行われた結果,旧道は失われている.荒巻神社に移設された道標が,北八崎などを示していて,かろうじて街道筋だったことをしのばせる.
"是より荒巻村、上小出村より岩上村"(上野下野道の記)
荒巻神社にある道標 2025
上小出村 かみこいでむら 上野 前橋市上小出町 沼田街道が通る.塩原太助の追い剥ぎ松というものが広瀬川畔にあった.このあたりの広瀬川は,高い堤防で囲われている.写真のY字路の右手が旧道になる.さらに手前方向,岩神,向町へは旧道をたどれる.
"上小出村より岩上村にて休みぬ"(上野下野道の記)
上小出沼田街道 2026
岩上村 いわがみむら 多助, 上野, 太助伝, 下新田 全1件1題 前橋市岩神 岩波版のルビは,いわかみむら.岩神(いわがみ)が正しい.岩神稲荷境内にある赤黒い色をした巨石.岩神の飛岩は,前橋の天然記念物第1号.浅間山の噴火の泥流で,はるばる流されてきたもの.こんな大きい岩なのに,地下に潜った部分の方が大きいらしい.石工が割ろうとノミを当てたら血が流れたという.
"上小出村より岩上村にて休みぬ"(上野下野道の記)
岩神の飛石 2026
利根の枝川 とねのえだがわ 多助, 上野 全4件1題 前橋市岩神あたり 街道裏手を流れるとあるので,岩神あたりの広瀬川を指すだろう.
"利根の枝川にて裏の方を流る。水勢早し"(上野下野道の記)
広瀬川 2026
前橋:県庁の御用水 けんちょうのごようすい 多助, 上野 全1件1題 前橋市大手町あたり 圓朝の旅のときには,すでに高崎から群馬に県庁が移っていて,県庁舎は前橋城あとに造られた.風呂川は,前橋城の用水として広瀬川から分流された.写真のあたり,広瀬川と併流している小川だが,水位は広瀬川より高く,用水として利用しやすいように見うけられた.
"用水が流れており、只今では掛茶屋ができて、この用水が県庁の御用水になっております"(塩原多助一代記)
風呂川 2026
正観音の塚 しょうかんのんのつか 上野 前橋市岩神か 岩波版の表記は,正観世音.広瀬川沿いで見かけた聖観音塚だという.不明.
"根府川石にて正観音と彫りたる塚あり"(上野下野道の記)
     
向町 むこうまち 上野 前橋市平和町あたり 岩波版のルビは,むかふまち.向町(むかいちょう).安政4年創業の原嶋屋総本家がある.前橋名物焼きまんじゅうの発祥ともいわれる.店頭には水沢などを差し示す道標が置かれている.
"向町 前橋入口 行き当りて左りに往く"(上野下野道の記)
向町饅頭店 2026
前橋駅 まえばしえき 伊香保, 多助, 下新田 など (他 東京8件) 全18件16題 前橋市 前橋の宿駅のこと.鉄道はまだ前橋まで届いていなかった.前橋は県庁所在地なのに,ちょっと奥まっていて行きづらい.県庁舎32階が展望台として開放されている.
"群馬県名和郡 前橋駅とあり"(上野下野道の記)
前橋市街を望む 2026
 −経路外−
下新田村 しもしんでん 多助, 後日譚, 上野, 太助伝 全2件2題 利根郡みなかみ町羽場 塩原太助の故地.生家には子孫が住んでおり,近くには太助記念館や太助ドライブインもある.
"初代塩原の家は当処より北の方へ 三里余 隔たりし下新田村と申すなり"(上野下野道の記)
塩原太助生家 2025
白井 しろい 多助, 上野, 太助伝, 下新田 全1件1題 渋川市白井 白井は,道の真ん中をつらぬく用水や,町並みを整備している.羅漢水,延命水などの井戸や,道標,常夜燈などが残っている.残念ながら,観光客の流れは近くの道の駅にとどまっているようだ.
"此の村より白井まで一里 是より猫村"(上野下野道の記)
白井宿ぬまた道道標 2025

掲載 041126/最終更新 260201

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