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亀山から木曽キセル旅  行程・地図
 名古屋に行くことは時折あるが,伊勢の亀山周辺も,東濃中津川周辺にも用件があることはまずない.
 中間の名古屋はすっ飛ばし,残った両端の地点をまとめて訪問する.運賃節約のため,新幹線と中央本線とで一周してくる切符とした.
 適当にどこかに行けといわれてもルートは決まらないが,残った地点の制約と行きつぶしの要請があるから旅が成り立つ.何も制約がなければ,こんな旅程はあり得ないだろう.

 午後から移動.津へは接続のよいJRを利用する.快速みえには,3車両のうち半両だけ指定席があるので,めったにないことだが取っておいた.車掌さんしっかり!名古屋でにゃーて金山から飛び出しだぎゃ.
 津からすぐに接続する亀山方面のバスがあったが,こいつが遅れてやってきたため,銭掛には16時45分着.地図の感じからは,銭掛松は戻り方向にあるだろうと勘をつけて探して行くと,案の定半道ほど戻ったところにお堂に入った銭掛松があった.枯れ枝に古銭がぶら下がっており,暗いがかろうじて撮影できた.

 急いでバス停に戻ったが,今度のバスは遅れがなかったらしく,やってきたのは亀山ではなく途中から別方向に行ってしまうバス.しょうがなく,津へ戻り,関西本線で亀山に行く.城址唯一の遺構多聞櫓や石井兄弟仇討跡,武家屋敷跡といった薄暮の亀山をざっと見て回る.


銭掛松
 翌朝は始発に乗り隣駅の加佐登で下車.当然コミュニティバスはまだ動いていない.徒歩2kmの「荒神山の血煙」の舞台へ行く.寺の人の話だと,今でもここでは賭博が黙認とか.本当か?来た道を戻り,駅反対側の庄野宿を見る.疲れただけで余り見ることころはなかった.

 加佐登でバスを待ち,石薬師宿へ.このポイントは単純に石薬師を収める寺を参拝する.お堂は開かないが,文化財の看板でどんな姿の仏様かはわかった.じっとバスを待つのも退屈なので,石薬師駅へ歩くが,結局バスに抜かれた模様.勝ち負けではないがくやしい.今日は歩く1日になりそう.
 通勤電車で名古屋へ戻る.多治見でセントラルライナーへ乗り換える.途中駅の多治見からの乗車なので,ライナー利用券は必要ない.

 中津川駅を降りると目の前に飯田行きの高速バス,いいなかライナーが待っている.あまりの好接続で,路線図などを確認する余裕もなく乗り込む.これで馬籠宿へ行くつもりだが,もし通過されたら,高速バスだけにどこまで連れて行かれるかと多少の不安があった.
 私は便利なアクセスだと思うが,馬籠バス停で降りる客はいなかった.30分ほど歩けば馬籠宿に着く.観光バスがずらりと並んでおり,宿への道は土産店と人ばかりの典型的な観光地.げんなりポイントの馬籠宿は簡単にパスして,中山道を落合宿へ向かう.

 是より木曾路の碑を通り過ぎ,「敵討札所の霊験」の十曲峠を下る.もともとからの石畳に再建した石畳が一体となっている.バス道路からははずれているため一部だけを歩くことはできないが,せっかくなら片道はここを通りたいところ.


十曲峠
 落合宿から中津川までバス.ついで恵那へ出て,徒歩圏の大井宿に行く.再現された高札場,公開された脇本陣などを見る.ここからは,今回の難所,細久手までの中山道で,細久手,大湫は鉄道から離れているため旧街道らしさが残る部分だ.
 3時からではとても徒歩で全部は歩けないので,西行塚はパスして武浪支所までバスでショートカットする.このバス路線は日に3本しかなく,かなりうまい行程とうぬぼれている.十三峠の一部,深萱立場跡から寺坂まで100分ほど中山道を行く.途中ゴルフ場の脇などを通るが,点在する順礼水などのスポットを歩いてたどる道と感じた.

 今日の宿泊地は細久手宿と決めている.ここから先は細久手間までのか細いバス利用を前提にしており,これを軸に全行程が定まっている.夕刻も迫り,狙いのバスに乗れないと不安なので,営業所へ電話して確認するが,こちらの言っていることがわかったかどうか判然としない.バスはあると答えてはいたが,どうもちぐはぐな回答だった.
 バス停で待っていると,果たしてバスがやって来た.しかし,室内灯も消え,行先標も回送になっている.当然のようにバスは素通りして行き一人残されてしまう.
 宿まで歩いて2時間はかかるのですぐにでも歩きはじめるか,本物の路線バスが来ることを期待して待つかの二択だ.あ然として待っているうち,バスが来ないことが決定的になる.近所の人に声をかけて,先ほどのバスのことを聞いてみると,親切にも細久手まで送ってくださった.お名前も伺わず失礼したが,本当に助かった.

 細久手の宿は大黒屋で,もと尾張宿の本陣が宿屋になっているという奇跡のような設定.客は私しかおらず,二階の1室をあてがわれる.宿のノートを見ると,外国人も泊まっている.

細久手大黒屋
 翌朝,始発のバスで里に戻る.雨の中,小学生が次々と乗り込んで来る.たちまちいきれて窓が曇る.バスは学校まで遠回りして小学生を降ろす.老人ばかりが残ったバスはたっぷりと小一時間かけて瑞浪に着いた.

 今度は木曽へ向かう.まだ細久手の夢の中のような気分と対照的に,振り子式特急はカーブを快走し,10時23分木曽福島着.
 福島宿は強い雨の中.高台の関所跡などを見て歩く.水面に張り出すように建った家の脇を水かさの増した木曽川が流れている.木曽福島駅に戻った時には,雨でズボンが足にべったりひっついてしまった.


木曽川
 福島から須原までは公共交通を利用する.
 11時28分の列車で須原まで下る.雨はほとんど上がり,歩いて定勝寺まで往復する.ここの宿は,桜の花の塩漬けが名物.
 続いて上松まで列車で引き返し,バスで再び南下し,桟で下車する.中仙道の難所であった木曽の桟跡は,舗装道路の下に土台の石垣となって残っている.木曽川の崖に張り付くように張られた木造の桟道だったという.橋側のコンクリートの崖に銘文が保存されている.
 40分のバス待ち時間の間,全く誰も通らない.バスで寝覚の床へ行く.こちらは現在も観光地で,団体バスがたくさん乗りつけている.寝覚の床は浦島太郎伝説の地で,水量が減ったとはいえ,すべすべした巨石が流れの中にごろりと並ぶさまは十分に楽しめた.
 再び上松にバスで戻り,塩尻経由で帰った.
2001年6月

初 日   紀行
13:07 東京 15:01 名古屋 ひかり125
15:10 名古屋 16:00 みえ13
16:13 16:45 銭掛 三重交通バス
銭掛松
17:10 銭掛 17:40 三重交通バス
18:08 18:25 亀山
亀山泊
 
2日目
5:05 亀山 5:13 加佐登
荒神山
庄野宿
7:00 加佐登 7:10 石薬師 三重交通バス
石薬師宿
8:10 加佐登 9:13 名古屋
9:18 名古屋 9:52 多治見
9:57 多治見 10:32 中津川 セントラルライナー
10:40 中津川 11:10 馬籠 いいなかライナー
11:40 馬込宿
十曲峠
13:51 落合 14:03 中津川 濃飛バス
14:08 中津川 14:18 恵那
大井宿
15:30 恵那駅 15:53 武浪支所 東鉄バス
十三峠
17:40 大湫
18:15 細久手
細久手泊
 
3日目
細久手宿
7:33 細久手 8:33 瑞浪 バス
8:48 瑞浪 9:14 中津川
9:47 中津川 10:23 木曽福島 しなの7
福島宿
11:31 木曽福島 11:49 須原
須原宿
12:38 須原 12:50 上松
12:58 上松 13:03 おんたけ交通バス
木曽の桟
13:41 13:52 ねざめ おんたけ交通バス
寝覚ノ床
15:08 ねざめ 15:13 上松 おんたけ交通バス
15:20 上松 16:17 塩尻
16:56 塩尻 19:36 新宿 あずさ12

掲載 050812/最終更新 061201

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