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初 日     下新田日記 本文


 1893(明治26)年9月18日
 上野駅〜渋川


 今度の旅は弟子の圓花と二人連れで,列車を使い一気に下新田を目指す.初日は渋川泊まり.講釈師の邑井貞吉と泊まりあわせる.
  隣こしで業わひ探る夜長哉 (邑井貞吉)
  合宿に此親しみや秋の旅  (圓朝)

                 − 渋川 −


地点名 出典と登場回数 位 置 備 考 写真と撮影年
上野の停車場 うえののすてーしょん 後日譚, 下新田 (他 東京20件) 全21件16題 東京都台東区上野7 今回の旅は,汽車を使って一気に前橋まで出る.
上野駅.1883(明治16)年開業.上野駅は,この角度から見るとよその国の駅みたい.
"明治廿六年九月十八日午前九時の発車にて、上野の停車場より圓花と倶に下等室に乗り込み"(下新田日記)
JR 上野駅 1999
赤羽 あかば 因果塚, 下新田 (他 東京14件) 全15件4題 東京都北区赤羽 赤羽駅.岩波版のルビは,あかばね.1885(明治18)年開業.日本鉄道により品川と赤羽がつながり,落語にも赤羽駅が登場するようになる.
"此の四、五人は赤羽より上陸したり"(下新田日記)
寝台特急北斗星 2003
大宮 おおみや 皿山, 多助, 孝子, 下新田 など (他 東京7件) 全10件9題 埼玉県さいたま市大宮区 大宮駅.1885(明治18)年開業.高崎線の起点.写真の0キロポストは10-11番線間.
"これより大宮に来たりし頃は(十時十分)"(下新田日記)
大宮駅高崎線0キロポスト 2009
熊谷 くまかい 多助, 草三, 高麗の茶碗 など (他 東京15件) 全20件15題 埼玉県熊谷市 熊谷駅.岩波版のルビは,くまがひ.1883(明治16)年開業.東口にある名所絵のような鳥瞰案内図が楽しい.お約束の富士山も描かれている.
"其のうち熊谷に着く頃は(十一時十五分)"(下新田日記)
熊谷案内図 2008
高崎 たかさき 伊香保, 草三, 黄薔薇 など (他 東京10件) 全20件18題 群馬県高崎市 高崎駅.1884(明治17)年開業.以下,地点名の群馬県は省略.
"早くも高崎に着き、長野信州直江津は乗り替への声耳にひびく"(下新田日記)
高崎駅構内タイル画 2020
前橋 まえばし 伊香保, 多助, 草三, 上野 など (他 東京8件) 全18件16題 前橋市 → 上野.前橋駅.1884(明治17)年開業.駅の位置は現在と異なり,利根川を渡っていない.
"やうやう前橋に着き(十二時三十分)、上陸して"(下新田日記)
     
小出村 こいでむら 下新田 前橋市上小出町,下小出町 → 上野.塩原太助の追い剥ぎ松というものが広瀬川畔にあった.
"小出(こいで)村不止(たてず)"(下新田日記)
     
田口村 たぐちむら 下新田 前橋市田口町 このあたり1890(明治23)年に開通した前橋と渋川を結ぶ上毛馬車鉄道の旅程.
"田口村に止(たて)る"(下新田日記)
田口町ほたるの里 1998
箱田村 はこだむら 上野, 下新田 渋川市(旧勢多郡北橘村箱田) → 上野.老人保養施設が箱田城址.見晴らしがよい.
"それより箱田村にて馬を次ぎ替えるなり"(下新田日記)
     
戸根川 とねがわ 多助, 上野, 下新田 全1件1題 群馬県 → 上野.箱田あたりの利根川.
"是より戸根川を渡り、中村に馬止(たて)る"(下新田日記)
     
中村 なかむら 下新田 渋川市中村 渋川へ入るすぐ手前.早尾神社には県天然記念物の大ケヤキ.さらに先代のケヤキがあったという.
"是より戸根川を渡り、中村に馬止(たて)る"(下新田日記)
早尾神社の大ケヤキ 2001
渋川駅 しぶかわえき 伊香保, 後の文治, 草三 など 全4件4題 渋川市 渋川は日本のへそを標榜する町で,臍石まである.碑は"はたた神引返しけりへそ祭り".四つ角に立つ.ここは雷もまた名物.
"早くも渋川駅に着きし故、下車して"(下新田日記)
JR 渋川駅 1999
福田や ふくだや 下新田 渋川市か 渋川の茶屋という.
"下車して福田やに小休みする"(下新田日記)
     
 −経路外−
武州浦和 ぶしゅううらわ 上野, 下新田 (他 東京5件) 全5件4題 埼玉県さいたま市浦和区 → 上野.
"言葉の訛りにては武州浦和近在の人々ならんとおもふ"(下新田日記)
     
宇都宮 うつのみや 牡丹, 伊香保, 上野 など (他 東京30件) 全37件21題 栃木県宇都宮市 → 上野.宇都宮駅.1885(明治18)年開業.大宮から東北本線が分かれる.
"宇都宮奥州乗り替へ"(下新田日記)
     
奥州 おうしゅう 蝦夷な, 福禄寿, 八景 など (他 東京48件, 上方4件) 全66件43題 東北地方各県 奥州乗り換えとあるように,1893(明治26)年には,早くも青森まで鉄道が開通していた.
"宇都宮奥州乗り替へ"(下新田日記)
     
長野 ながの 蝦夷な, 草三, 下新田 (他 東京5件) 全7件6題 長野県長野市 長野駅.1888(明治21)年開業.ここまでほとんど駅の用例だけに,鉄道の記述ばかりになってしまう.善光寺を思わせる仏閣型の駅舎は新幹線開通とともになくなった.
"長野信州直江津は乗り替への声耳にひびく"(下新田日記)
JR 長野駅 2008
信州 しんしゅう 札所, 羽織の蕎麦 など (他 東京72件, 上方4件) 全96件51題 長野県 "長野信州直江津は乗り替への声耳にひびく"(下新田日記)      
直江津 なおえつ 下新田 新潟県上越市 碓氷峠のアプト式ラックレールがこの年(1893年)に完成し,信越線が直江津へ通じたことによる.直江津はタラづくしの鱈の駅弁が名物.
"長野信州直江津は乗り替への声耳にひびく"(下新田日記)
JR 直江津駅 1998
大島村 おおしまむら 下新田 前橋市上大島あたり 前橋近郊の広瀬川,桃の木川あたりの微高地は梨の産地だった.
"ハイ此梨は大島村とまたはいばら木村より卸しに来ますと云ふ"(下新田日記)
     
いばら木村 いばらきむら 下新田   ここも梨の産地というが不明.
"ハイ此梨は大島村とまたはいばら木村より卸しに来ますと云ふ"(下新田日記)
     
岩上村 いわがみむら 多助, 上野, 太助伝, 下新田 全1件1題 前橋市 → 上野.岩神が正しい.岩波版のルビは,いはかみむら.公園地にある赤い色をした巨石は前橋の天然記念物第1号.割ると血が流れたという.
"沼田道の事を問えば、亭主いふ。旧は岩上村より鉢崎(はっさき)まで"(下新田日記)
     
鉢崎 はっさき 伊香保, 多助, 上野, 下新田 全2件2題 渋川市(旧勢多郡北橘村八崎) → 上野.八崎(はっさき)宿.白井八崎と並べて出てくることが多い.白井からの沼田街道西通りと合流する.
"沼田道の事を問えば、亭主いふ。旧は岩上村より鉢崎まで"(下新田日記)
     
白井駅 しろいえき 多助, 太助伝, 下新田 全1件1題 渋川市(旧北群馬郡子持村白井) → 上野.
"又白井駅に出るまで一里なり"(下新田日記)
     
十八阪峠 じゅうはちさかとうげ 下新田 沼田市岩本町,北群馬郡子持村上白井 綾戸の隧道完成前の,利根川右岸白井から沼田へ抜ける山道.
"昔は十八阪峠ありて至極難所なり"(下新田日記)
十八阪峠を望む 1999
小川原村 おがわはらむら 下新田 北群馬郡子持村上白井 十八坂峠の南側登り口.桜の木は別項.
"小川原村より登りて峠の重畳(ちょうじょう)に休み茶や在るのみ"(下新田日記)
小川原 1999
岩本村 いわもとむら 上野, 下新田 沼田市岩本町 → 上野.戸鹿野橋を渡って利根川右岸.山が迫っており,駅裏は発電所.
"それより岩本村に出て、戸鹿の橋を渡りて"(下新田日記)
     
戸鹿の橋 とがのはし 下新田 沼田市屋形原町〜新町 戸鹿野橋.後出.
"戸鹿の橋を渡りて(三十丁)往けば、沼田の入口に出でる"(下新田日記)
     
沼田 ぬまた 多助, 後日譚, 草三, 上野 など (他 東京5件) 全12件7題 沼田市 → 上野.「塩原多助」青年期の舞台.沼田名所は「下新田日記」2日目.
"戸鹿の橋を渡りて(三十丁)往けば、沼田の入口に出でる"(下新田日記)
     
丸本屋 まるもとや 下新田 渋川市(旧勢多郡北橘村八崎)か 八崎の掛茶屋という.
"鉢崎に茶釜を惣銅壺(そうどうこ)に掛けたる茶屋は無かりしや、と尋ねたれば、それは丸本屋とて"(下新田日記)
     
塩野や しおのや 下新田 渋川市(旧勢多郡北橘村八崎)か 八崎の旅館という.
"旅籠やは(左)に塩野や、(右)は中島やあれど"(下新田日記)
     
中島や なかじまや 下新田 渋川市(旧勢多郡北橘村八崎)か 八崎の旅館という.
"旅籠やは(左)に塩野や、(右)は中島やあれど"(下新田日記)
     
升や ますや 下新田 渋川市(旧勢多郡北橘村八崎)か 八崎の旅館という.
"今は新道が開(でき)てより二十年以前に開業(でき)し升や一軒と成り"(下新田日記)
     

掲載 050916/最終更新 220201

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